This is POP!! | ©gaburu
Next Month05 '25
31
「知能侵蝕(1)(2)」林譲治
書き下ろしのシリーズもの、いまのところは最新、2024年刊。全4巻の2巻まで読了。203X年の近未来、地球の衛星軌道に遷移してきた小惑星は異種知性の侵略なのか...。近未来を舞台に、突然エイリアンの侵攻を受けた人類社会が、これにどう対応するかのシュミレーションSF。作者得意の兵装論、軍事組織論、国際組織と制度の形、色んな登場人物が様々な立場で持論を吐きつつ、目の前にある課題にそれぞれの視点で向き合い行動する...という群像劇。いろいろ諄いのは相変わらずで、それはそれで愉しみつつ、後半はいよいよタイトルに相応しい展開になりそうな予感。

今週頭から風邪気味で市販薬呑んで過ごしてたんだけど、この二日ほど鼻詰まりが悪化して酸素が頭に回ってない感じ。微熱の感じはなくなったんだけど、なんかぼおっとして気分すぐれず。
29
「エルギスキへの旅」森下一仁
1991年から94年までSFマガジン誌で連載された森下一仁の連作を、大分在住のファンの方が出版社を立ち上げ(プターク書房クラウドファンディング資金で1冊の単行本として出したもの。いちSF愛好家としてはその想いに応えたく...というだけじゃなくて、"シャーマン"と"少年の旅"と好みのキーワードに惹かれて購入。地球規模の災厄を経た日本とシベリアを舞台に、少年が大人になる過程と呪術的な極東の世界観とが混ざりあう物語。陳楸帆の何作かを彷彿とさせる。SFファンが企画制作したならではの丁寧な装丁とクオリティ。自分にはここまでして世に残したい話なんてあるかなあ...なんて、出版した幸重善爾氏に只々敬意。サイエンスフィクションとしてのアイデアの奥行があるわけではないが、性と死のイメージ、エキゾチックでひんやりと透明な世界観は味わい深い。
購入ページ
27
あからさまにとある社員に無視され、凹む。これは結構引き摺るやつ。こういうときどうしたらよいものか。
25
神保町ブックフリマ左右社でニナ・マグロクリン「覚醒せよ、セイレーン」、モニーク・ロフウエイ「マーメイド・オブ・ブラックコンチ」、マーク・フィッシャー「ポスト資本主義の欲望」の3冊(なぜか人魚もの?2冊)。作品社は、ナギーブ・アフマーズ「ミダック横丁」、大野拓司「マゼラン船団」、中田考「イスラーム学」。青土社、トーマス・レイネルセン・ベルグ「地図の進化史」、ティモシー・ワインガード「蚊が歴史をつくった」、ユリイカ2015年3月臨時増刊号「150年目の不思議のアリス」。そのあとちょい先にある白水社でマルカム・ラウリー「火山の下」、イアン・ウォーシントン「プトレマイオス1世」、ウルリヒ・メーラート「東ドイツ史1945-1990」。大容量の国書刊行会トートが一杯になってしまった。12冊、合計37cm(笑)、買うだけ買って正午には帰宅。
24
「レッド・アロー」ウィリアム・ブルワー(上野元美 訳)
2022年刊。米国のNational Poetry Series受賞(2016年)詩人の長編小説第一作。円城搭解説を帯の画像で見たのと、チャールズ・ユウも絶賛ということで手に取った。何気に書いた故郷を舞台にした短編集がベストセラーになってしまった主人公が、第二作を書けず、仕事として手がけることになったノーベル賞候補と言われるイタリア人物理学者の自伝執筆に関わることになる...、とまあそういう話。重度の鬱病の主人公の一人称語りで話が進み、読んでいる自分も影響を受けそうになる前半(円城搭が解説で書いてる通り、鬱傾向の方は手に取らないほうがいいかも...)から、"治療"を経た後半のイタリア編で一気に色と匂いが変わる。この辺の描写の変化も巧いし、時間モノとしてのスペキュラティブ・フィクション度が加速して、円城搭絶賛もむべなるかな。ディックぽいが、グノーシス的ではなくて量子論的世界観。いい本を翻訳出してくれたなあ。
20
19日月曜日の夕方、会議が終わって速攻羽田。夜福岡入りして、玄関前に溜まってた大量の宅配荷物を回収。今日20日火曜日は会議が一件も入ってないので、先週土曜日思い立って往復フライト予約して人と会う約束を入れた次第。予定通り昼間に会って夜の便で東京に戻る。たかが一泊だけど、リフレッシュ。たまにこういうのもありだなー。
17
「都市と緑の人類史」ベン・ウィルソン(森夏樹 訳)
原題は「Urban Jungle」、2023年刊で翻訳も同年に出ている。「WAYS OF BEING」からか「ウマの科学と世界の歴史」なのか、そのあたりから都市論的なものに興味があって入手した何冊かの一つ。読了にちょっと苦労した。雑草地、森林、水、農地、動物と大きくはそういう章立てで、温暖化を迎える世界の新たな自然とヒトの都市での共生の形を論ずる...って内容。それ自体は面白く読めたんだけど、時系列とか地勢的な話が順だてられてるわけではないのと、やっぱり政治的な主張が潜んでいるような気がして、期待してたものとはズレてた感じ。新たな都市の形を建築や経済的な視点で論じてれば、今の自分の興味に沿ってたかも。"多様性と共存"は組織論に通じる印象に残るキーワード。
11
米国の東海岸時間10日13時からケンタッキー州の大学に留学してる長女の卒業式。日本時間の朝3時から2時間。YouTubeライブ配信で式の最初から最後まで、かみさんと観てた。卒業証書授与はステージ上が映され一人ひとり確認できるので、証書を受け取るシーンを二人で見届けてTV前で拍手。独りで留学すると言って渡米し、新しい専攻で学位取って卒業、学校のESLオフィスでバイトもして、寮生活。正直就職は心配だけど、今日のところは卒業おめでとうとお祝いの気持ち。
10
「Slow death in the Metronome Factory」つうコンピ盤があって(1997年リリースらしい)、ポストパンク的なインディーバンドが色々収録されてて個人的にかなり好きなんですけど、中でも一番好きな曲がPerfume Tree "Too Late, Too Early"。以前探したときは見当たらなかったんだけど、同曲が収録されてるアルバム「Feeler」は日本盤もリリースされてたらしく、今回中古盤でCD入手。透明感のある女性ボーカルに微ノイズギター、ダビーなリズム隊にちょいレトロなシンセ...ってことで、実に嗜好の的に刺さった音。強烈な個性はないけど、これが自分にはちょうどイイ。件の"Too Late..."は、アルバム盤はテクノ風のミックスが施されてて、コンピ盤収録バージョンの方がよかったのだけど...
05
夕方の便で東京に戻る。ベランダでの日光浴と読書、大音量で好きな音楽聞ける環境、至福。月のうち1週間は過ごしたいが、まあそうはいかんよねえ。

佐藤史生「ワン・ゼロ」を読了。今回福岡でやりたかったことリストトップ。1986年までPFに連載されてた人工知能×神々の戦いの全4巻。2020年代の今読んでも全く遜色を感じない、むしろ今読むと面白さが増幅される...というか、この先鋭的なビジョンの凄みに驚くばかり。当時はストーリー追っかけるばかりだったのが、あらためて再読して、台詞の機微、絵の説得力、展開の秀逸さに溜息をつきまくり。氏の早世はホントに残念。SF漫画家としては萩尾望都を越えてる人だったよね。
04
午後の来客に備えて朝からベランダ清掃と窓拭き。快晴で風もなく快適な午後、ベランダでお茶飲みながら気のおけない話から室内に戻ってケーキ食べながら引き続きお茶会。夕方見送ったあとにYMO「1979 TRANS ATLANTIC TOUR LIVE ANTHOLOGY」が届いた。5CDはFlacに落とし、コンサート映像収録BDをTV部屋で鑑賞。Greek Theaterのライヴはいろんなところで見れるんだけど、Hurrahでのライヴ完全版14曲収録」はやばい。ライヴハウスの密な空間での臨場感。1979年欧米ツアーの音源はこれまでも出てはいるけど、今回はリマスタリングでライヴ感が圧倒的に違う。細野さんがブックレットのインタビューで言ってるように、渡辺香津美ギターが入ってこの時期のサウンド(ライヴバンド!)が完成してるのがよく解る。いま部屋で聴いてるけど一寸これは凄いよ。
03
連休初日。夕方に親友Y、S夫婦を招いて福岡宅の披露会。特にY氏は本棚組み立てを手伝ってくれた以来の来訪なので、本棚見てもらわんと。 Y氏夫妻が酒を持参、私はUberでケータリング。タイ、ベトナムにインド料理のミックスで、量もちょうど良くて、ホッとした。大学時代からの友であるY、Sはそれぞれ書籍、レコードを物色、そういう話で延々呑み食いできる仲というのも他にいない、Sの奥様はSWファンという事がわかり、5人であんな話こんな話で愉しい時間。17時過ぎから21時過ぎまで、あっという間で、また集まろうということに。

掃除買い物の終わった午後に漸く「ARRIVAL」(邦題「メッセージ」)を鑑賞。テッド・チャンの原作を読み返して...と思いながら、「あなたの人生の物語」は文庫本棚に埋もれてて発掘できず、TV部屋もできたしGW休暇にゆっくり見ようってことで。コンタクトものにして言語ネタか..その展開の先は時間もの...という話ではあるんだけど、終盤の謎の回収から主人公が到達する洞察への流れは自分の何かのスイッチを押したようで、嗚咽号泣。初めて「パリ・テキサス」を観たときと同じ自分の感情を制御できない感覚。凄いものを観てしまった。ライフタイムベストな傑作。
02
暦通りにお仕事なんだけど、今朝は福岡に移動。午後いろいろ荷物が届くのを受け取る合間にちょこっと仕事。Yogiboも届いた。これはめちゃ座り心地気持ち良いね。まあ首まで支えてくれるリーン・ロゼもどきの方が居心地は良いけど。んで今回の受取り荷物で最重要だったのが、本棚サービスに預けたものの行方不明になってた箱、問い合わせたら発見してくれて、ようやく最後の2箱が回収された。それなりにいいものが入ってた2箱だったので、見つかってよかった。本棚の隙間がほぼなくなってしまったけどw 

月いち頻度で福岡来てると、こっちが本拠な気がしてくるよ。The Whoの「Live at Leeds」アナログ盤を窓開放で大音量で流せば、マジ至福。

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